肛門の出口付近に便がたまっているけど、いきんでも何しても出ないのは直腸性便秘の可能性があります。
便秘歴50年の私、1週間に一度しかお通じが来なかったのが、努力の甲斐あってかようやく最近になってお通じの間隔が2 – 3日に短縮されてきました。ところが、こんどはせっかく便意があっても、肛門付近で止まってしまうのです。お風呂に入ったときに肛門をさわると、便がたまって盛り上がっているのがわかるほど、なのに出ないってどーいうーこと !?
この記事では、便が詰まる理由とその対処法について説明していきましょう。
便が肛門出口で止まってしまう理由
せっかく腸が動いて便が下りてきているのに、出口で便が詰まってしまう最大の理由は、出口付近 (肛門管) の知覚神経が鈍ってしまうことです。
直腸に続く肛門管にある内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)は、自律神経によって動きがコントロールされているため、意のままに動かせません。便意をもよおしてもすぐにトイレに行けないと、がまんしてしまいますよね。それが続くと、だんだんとセンサーが鈍って、便が来ているのに内肛門括約筋が開かなくなってしまいます。そうなると、便がどんどんたまり、硬くなってますます詰まってしまうのです。
私も長年の便秘で、便意はゼッタイ逃すまいと仕事中でもすぐにトイレへ行くようにするのですが、せっかく便座に座っても、トイレに他の人が入ってくる気配がするととたんに便が出なくなります。人の気配で交感神経が働いて緊張してしまい、内肛門括約筋の動きが止まってしまうのです。
このように、直腸の動きは自律神経に支配されていてとてもデリケートなため、便意をがまんしたり、緊張したりするだけで、かんたんに便が詰まる状態になってしまいます。
さらに、肛門括約筋を含む骨盤底筋が加齢でおとろえることも、便が詰まってしまう原因となります。
このような状態で、いきんで出そうとしても出るわけはなく、最悪肛門が切れてしまったり痔を引き起こすことにもなります。
便の詰まりを解消する6つの対処法
この便の詰まりをどう解消すればいいか、私なりに実践したことをまとめてみました。
1. 便を出すために早起きする
朝はぎりぎりまで寝て、大慌てで身支度して、ゆっくり朝食などとるゆとりもない、という毎日では、いつまでたっても便の詰まりは治りません。
じつは、朝が一番腸の動きが活発になるのです。というのも、昼・夜とくらべて朝は胃の中がからっぽの状態なので、朝食をとったときの胃への刺激が一番腸に伝わりやすいのです。これを逃す手はないですよね。
この腸の動きを最大に生かすため、30分、できれば1時間、早起きしてみましょう。
ゆっくり朝食をとり、そのあとコーヒーでも飲みながら新聞を読んだりパソコンをチェックしたりしていると、ほぼ確実に便意をもよおします。
私も早起きを実践してやっとわかったのですが、とにかくリラックスすることが重要なのです。
直腸の感覚が鈍っているとはいえ、活発な大腸の動きを受けて詰まった便でも出る確率は高まります。
2. 便意が弱くても試しにトイレに座ってみる
もちろん、体調とか状況によって、便意はあってもいまいち便を押し出す力が足りない、という日もあります。
そんなときでも、とにかくトイレに座ってみてください。ゆったりと座っていると、強い蠕動運動がもどってきて、めでたく快便 ! ということも少なくありません。
このとき、便を出すんだと力いっぱいいきむのはよくありません。上半身が硬くなって肛門も開かず、痔になったり急激に血圧があがることもあります。
トイレに座るのは長くても5分以内、出なければあきらめよう、くらいの気持ちで。
出ないときにあせったり、自分を責めたりするのは、無意味ですよ。
3. 便が出やすい角度を自分でつかむ
トイレに座るときの姿勢について、少し前かがみになると出やすい、と言われています。
しかし私の場合は、前かがみよりも上半身をまっすぐに起こすか、少しうしろによりかかるくらいの姿勢のほうが出やすいのです。
これはおそらくですが、人の顔がひとりずつ違うように、腸の形状や配置も人それぞれちょっとずつ違いがあるからではないか、と思うのです。
前かがみで思わしくない場合はいろいろ姿勢を試して、自分に合った角度を見つけてみてください。
4. 仙骨をさする
仙骨とは骨盤の一部で、お尻の割れ目のすぐ上に位置する逆三角形の骨です。
あるとき、何気なくトイレでこの部分をさすってみたら、手のあたたかさが気持ちよく、すんなり用を足せました。それ以来、トイレに座ったらまず仙骨をさするようにしています。
仙骨は背骨の土台となる部分で、からだの重心を支えるだけでなく、脳脊髄液を循環させる役割もあります。
「仙骨を正さずして健康なし」と言われるほど中心となる骨で、ここに歪みがあるとさまざまな健康障害が起きてしまいます。
5. 腹式呼吸
さきほど、力いっぱいいきむのはよくない、と言いましたが、正しくいきむことは便を排出するために必要なことです。
そのやり方ですが、トイレに座ったら腹式呼吸をします。鼻から大きく息を吸い込み、ウエストのあたりがふくらむのを確認します。息を吐くときに下腹部をへこませるのですが、そのとき空気が肛門から出ていくような気持ちで、下腹部に軽く圧力をかけます。じっさい、息を吐き出すのは鼻からでも口からでもかまいません。
そうすると、リラックス効果もあり、内肛門括約筋が自然と開いていくのがわかります。
大腸の蠕動運動が起きたときに同時に腹式呼吸をすると、効果的です。
6. 便があまりにも大きく硬い場合は
私はここまで悪化したことはないのですが、たまった便の直径が肛門が広がる最大値を超えるほどになった場合は、浣腸も座薬も効果なしです。
ではどうすればいいか。
肛門科のある病院へ直行して、カッチカチの便を指で掻き出してもらってください。これを摘便といいます。
通販で器具とか売っていたりしますが、とても技術の要る作業なので、専門のお医者様にお願いしたほうがいいと思います。器具でからだをキズつけたりしたら大変です。
直腸瘤の可能性も
便が詰まって出ないから力いっぱいにいきんでしまうのですが、毎回これを続けていると直腸瘤になる可能性が高くなります。
直腸瘤とは直腸にできたポケットのことで、筒状の直腸が部分的にポコッと飛び出てしまい、そこにさらに便がたまるという悪循環が起きます。そのため、いつまでたっても便が詰まったままになるのです。
直腸瘤がひどくなると、手術でしか治すことができないと言われています。でも女性にとって、お尻を手術するなんて、とても受け入れがたいことですよね。なんとかして、直腸に便が詰まらないよう、便秘そのものを治すのが最善策なのです。
そこで、ご紹介したい本があります。「ちつのトリセツ – 劣化は止まる」原田 純著 (径書房) には、直腸瘤はもちろん、便秘、子宮下垂、膀胱下垂、膣萎縮、すべて自分で治した体験談が書かれています。
アーユルベーダの手法で、女性器を含む骨盤底筋全体をよみがえらせるのですが、現在60代の著者が勇気を奮い起こして実践する様が、いきいきと描かれています。こんなことを言うと著者にもうしわけないのですが、60代でもここまで回復できるのか、という驚きとともに、がぜんやる気が沸いてきました。
著者の原田女史は、このお手入れを行うまで、自分が直腸瘤であることすら気が付いていなかったそうです。でも、浣腸を使わないと便が出ないほど便秘が悪化していたといいます。
こんな状況からでも、お手入れ次第で見事に治ってしまうのですから、人間のからだは大きな可能性を秘めているんですね。
詳細な内容については、ぜひこの本をお手にとってご覧ください。すべての女性におすすめしたい本です。
まとめ
いかがでしたか?
便が詰まる原因が大腸の便秘とは違うことをきちんと理解したうえで、対応策を実践してみてください。
そうすれば、少しずつ便の詰まりが解消されていきます。
一夜にして便の詰まりが治る魔法はありません。自分のからだとじっくり向き合い、焦らず行っていきましょう。いつしか、便秘とおさらばできる日が来ると想像するだけで、ワクワクしますね!
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