先日、清潔意識の違いが生むストレスに関する記事を読み、コロナ禍の深刻さを改めて思いました。
たしかに、外出自粛ムードや感染症への恐怖心から、身近な人の言動が癇にさわるというのは、よくあることです。なぜならその根底には、
「相手が自分と同じレベルで清潔にしないのはオカシイ」
「それをいちいち言わないと理解しないのは相手がわるい」
という感情が渦巻いているからです。
しかし、いくら身近な人でも、言わないと伝わらないのです。そして、言ったからといって、自分が望むように相手が行動してくれる保証もありません。
このままストレスを放置すると、家庭内でケンカが絶えなくなり、暴力にも発展しかねません。それを食い止めるためには、冷静に相手とコミュニケーションをとること。そのとき、以下に挙げるポイントがとても重要になってきます。
- 相手に伝えるとき、相手に期待しない
- 完璧を求めない
- 伝えたあとは、自分のやるべきことに集中する
こうすることで、自分と他人とのあいだに境界線ができて、心の平和を保つことができるようになります。
それでは、ひとつずつ解説していきましょう。
相手に伝えるとき、相手に期待しない
コロナウイルスから身を守るためには、家族全員で協力することが不可欠である、ということをまずは冷静に相手に話します。このとき、まるで事務連絡のように淡々と伝えることで、聞いているほうも落ち着いて聞くことができます。
そして、一度伝えたから大丈夫、とは思わないこと。なぜなら、衛生観念は習慣がもとになっており、注意されたからといってすぐに直してくれるとは限らないからです。
もしかしたら相手は心の中で「うるさいなあ、ピリピリしやがって」などと思っているかもしれません。相手がすぐに行動を変えることに期待せず、根気よく、冷静に、伝えつづけましょう。
根気よくなんてイライラしてとてもできない ! 、と思いますか ? それは、「相手をねじ伏せたい」「相手を思いどおりにコントロールしたい」という感情に支配されているせいかもしれません。
なぜ「手洗いを徹底する」ように伝えるのか ? それは「言う通りに行動させる」ためではなく、「ウイルスから身を守る」ことが目的ですよね ? そこを履き違えないように。
どうにもイライラが止まらないときは、なぜ相手を思い通りにしたい衝動にかられるのか、自分に問いかけてみましょう。意外な発見があるかもしれませんよ。
完璧を求めない
地球上どこを探しても、完璧な人なんていません。そんなことは誰でもわかっていますね。
家族のだれかが適当に手洗いしているように見えたとしても、大目に見てあげましょうよ。その人にとっては、まじめにやっていることかもしれません。
どれほど衛生的に完璧を目指しても、ウイルスに感染するときはあります。何しろ、敵は目に見えません。医療のプロでも、宇宙服でも着ないかぎり完璧な防御は不可能です。
人知を超えた存在に対しては、腹をくくるしかないのです。自分なりに、悔いが残らないよう、完璧に近い対策を講じた。それでもウイルスに感染してしまったら、その時はそのとき。あとは、神のみぞ知る、です。
ヒステリックに完璧を求めていると、自分だけでなく他人までも追い詰めることになります。予防するはずが、免疫力が低下して感染リスクを高めることにも。
人は機械ではありません。完璧ではない自分を許し、完璧ではない他人をあたたかく見守る勇気を持ちましょう。
伝えたあとは、自分のやるべきことに集中する
相手のささいな行動が気になり注意を促したら、そのあとは自分のやるべきことに集中しましょう。
手洗いを念入りにしているか、顔をベタベタ触っていないか、あるいはその他生活習慣に関わる行動など、つい気になると思います。もちろん相手の為を思って注意するわけですが、相手も感情があるのでやる気がないとか、同意できないとか、めんどうだとか、いろいろ思うところがあるわけです。
子どもならまだ素直かもしれませんが、大人であればさもありなんです。でもそこはグッとこらえて、その人を信じてお任せするのです。
ここでのポイントは、行動を改善するように伝えたけど、変える変えないはその人次第、と割り切ることです。そう思うためにも、伝えたあとは自分のやるべきことに集中するのです。逆に、周りにイライラするということは、自分のことが疎かになっているからかもしれませんよね。
他人は他人、自分は自分
前項で説明してきたことは、コロナ対策に限ってのことではありません。仕事、子育て、さまざまな現場に当てはまります。
家族であっても、違う考えや感情を持った他人です。家族は、自分の手足のように動いてはくれません。家族にイライラする人は、このことを改めて意識することをオススメします。
まずは、客観的に自分の気持ちをモニターしてみましょう。「自分は今イライラしているな」と気づいたら、「まあ、やる気がないならしょうがないよね」といったん諦めてしまえばいいです。
狭い生活空間ではちょっとした工夫が必要ですが、相手の行動にいちいち目くじら立てない。片付いていないとか、汚い手で触ったなとか、あなたが気づいたなら、フォローしてあげて。
このように考える習慣が、自分と他人との境界線となり、相手の言動によって感情的に揺さぶられることから防いでくれます。そして、結果的に相手を尊重することにもつながるのです。