日本人はとかく「よい方位」を気にしがちです。
新店舗を出店するのによい方位は
結婚して新居を構えるのによい方位は
引っ越し後に体調が悪いのは悪い方位のせいでは
素敵な結婚相手に出会えるよい方位は
など、若い人でも気にする人は多いです。
古い都は風水に基づいて計画されたので、とくに「方位」という要素に注目が集まり、現代にも引き継がれているのでしょう。
占星術鑑定をしているとたびたび聞かれる方位ですが、私自身は「よい方位、悪い方位」があるとはまったく思っていません。
それを裏付けるようなことをいくつか体験しているからです。
20代に勤務した会社の社長さん
私が大学を卒業後2番目に務めた小さな貿易会社。
社長、副社長、私の3人だけの会社で、社長の自宅リビングがオフィスがわりでした。美しい奥様がいろいろとサポートしてくださいました。
この社長夫妻がおどろくほど方位を気にする人で、そのこだわりがすごかった。
たとえば、A地点からB地点への引っ越しのさい、普通なら最短距離で向かいます。ところが彼らの場合、風水師の指示に従い「A地点から北の○○区に向かい、そこから南西の○○に行ってからB地点に入る」という熱の入れよう。
これほど方位を信じる社長と毎日顔を合わせ、かつこの人が成功者で人徳のある方だったら、若かりしころの私も方位信奉者になっていたかもしれません。
しかし実際は、
資産家の義父が所有するビルをこっそり借金の担保にする
北京に渡った数ヶ月後に天安門事件が勃発、おかげで事業が頓挫
という結末を迎えました。
運命を左右するのは、方位ではなく、その人の人間性なのだ、と思ったものです。
悪い方位に引っ越して病気になった九星気学の大家
中村文聰という気学の大家のエピソードです。
悪い方位に行けば、悪いことが起こる、ということを身をもって実証したかった中村先生。
弟子が止めるのも聞かず、自分にとっての悪い方位へ引っ越しを決行。新居での生活が始まると、ほどなくして中村先生は病に伏せってしまいました。
弟子は早くこの地を出ようと忠告しましたが、先生は聞き入れません。そこでの生活はけっこう長い期間に及びましたが、その間ずっと病気は治らなかったとのことです。
中村先生は、みごとに悪い方位の悪影響を実証したわけです。めでたしめでたし。
これを読んでどう思われましたか。
今だからわかりますが、中村先生は自分に暗示をかけたのです。この方角は凶、だからゼッタイに災難が降りかかる、と恐ろしい思い込みをしたのです。
結果そのとおりになりました。なぜなら、人生は意識を向けたとおりになるからです。
災難がふりかかるという思いを習慣化したから、こうなったのです。もちろん、中村先生はそんなこととは思ってもみなかったことでしょう。
私が最初に師事したのは東洋占術の専門家で、「方位を気にしすぎると病気になる」とその危険性を指摘していました。中村文聰先生のエピソードは、まさにこれを裏付けています。
松下幸之助
これも有名なエピソードです。
生産拠点を拡大するために広大な土地を購入した松下幸之助。ところが取り巻きのひとりが「そこは北東で大阪から見て鬼門」と忠告してきた。
どうしたものかと考えていたところ、ひらめいた幸之助。
「日本は南西から北東に伸びている国、じゃあ日本全国どこへ行っても鬼門ということ。そんなこと気にする必要ないのでは」
で、出した答えは「かまわん、気にせんとこ!」とあっさり鬼門に進出。その後の繁栄は言うまでもありません。
ここまで読むと、方位なんて気にしない! と思えてきませんか?
みなさん、うすうすお気づきだと思います。よい方位に向かったところで、かならず幸運に恵まれるわけではないことを。
厄年にお祓いに行くのと同じようなことです。気にし出すとやらなきゃ不安でしかたがない。
ちなみに私は厄払いも行ったことありません。方位も厄払いも必要ない、わたしは大丈夫、と心から思っているので。
おかげさまで、これまで災難に遭ったことは一度もありません。
大丈夫と思えば、ほんとに大丈夫なんです。これが宇宙のしくみ。
あなたが、ピンときた場所へ、行きたければ行けばいいのです。
ピンときた場所へ、引っ越せばいいのです。
不安から行動するのではなく、ワクワクする気持ちで行動しましょう。
かまわん、気にせんとこ !!!